
アテヌス復讐記
あらすじ
ミノスとサルゴンは長い間に渡って交戦関係にあった。
戦争が終結して国交を回復するにあたって式典と戦災遺物の返還が行われる。
感想
今回のアークナイツのシナリオは大体二本の軸がある。もっと言えば三本ぐらいありそうだ。
戦争を経た二国の国交正常化をテーマに展開されていくのだが、戦争自体ではなくその余波に注目するシナリオはゲームにおいてはあまり多くないのではないかという点でかなり珍しいと思う。異格パフューマ―についても里帰りという形でシナリオが割かれているものの、メインは二国の関係とそれに巻き込まれた人々が中心ととらえている。今回はそこが面白かったので。
ミノスとサルゴンの国交

アークナイツ世界の物語として、戦争や衝突は絶えない。特にここ最近のアークナイツ世界はかなりきな臭い。
サルカズとカスデルは戦争目標を達成したばかり、イェラグは開国と文明開化を目指して国家間の競争に自立した立場を示そうとしているし、ウルサスは国内の統治に問題を抱えているし、クルビアはテロの自作自演をやろうとしていたぐらいである。
基本的にどいつもこいつもタカ派に過ぎる状況で、国交正常化と緊張緩和を目指す気配のある話なのだ。
戦争を行った国としてわだかまりがあるのは後述の通りとして、今回のシナリオは現実を下敷きにするアークナイツをして示唆的と言えなくもない。
この二国の関係はそのまま日本と中国に置き換えてしまう事も可能であろう。もちろん、戦災によって略取された歴史的遺産の返還というトピックでは日韓関係にも見ることはできる。
国交回復や和解は全面的な過去の清算や白紙撤回を強いるものではなく、どうにか双方を尊重して緊張の緩和と未来志向での共生を目指せないかと言う、広く共通するメッセージが込められている。
アークナイツがどの様な意識で戦争と戦後を扱いたいと考えているかが垣間見えるのではないか。
ティティは外交官として個人的な意思もあって基本的に歴史問題や戦争におけるサルゴンの加害意識を反省する立場に立っているが、これを作中でも批判してみせる人物がやはり存在している。
現実に置き換えてもなんとも胃が痛い既視感がある。
多分、日本の政治家が中韓に対して謝罪をことさら日本の加害について強調して表明すると国内から叩かれるだろうし
作中においては同じ外交団のメンバーが外交上のイニシアティブを重視した立場から、戦災を直接受けた市民感情でおいても遺恨からそれぞれ国交の正常化や歴史問題の扱いについての批判が語られる。
個人同士での和解や相互理解も国家のユニフォームを着てしまうと事情が違ってくる。

とはいえ、それでも和解のためには個々の意思と行動がなければ永遠に果たせないのだよなあ! という点でティティの行動は尊い物に違いなく、アークナイツは非常に未来志向であるしタカ派の理屈に危険性を感じているのではないか。
恨みと戦争の傷

今回のシナリオはアテヌス復讐記と名前が付けられている。
その根底にあるのは戦争よってもたらされた傷とその恨みは消える物ではないという事だが、復讐記と名付けられた割にシナリオは意外にもどこか内省的である。最終的にはクサントス自身の物語に決着がつくから、そう感じるのだと思う。



個人的には”無数のイサコス”に注目したくはある。 イサコスという友を追ってその復讐と仇を返すことが未遂のまま終戦を迎えてしまった人物がクサントスだが、戦争によって大勢の同じ立場の人物がいるのだと描かれている。戦争で影響を受けたのは特定のスクリーンに描かれる何者かと何者かだけではない。無数のイサコスは大勢の無名兵士の事であり、この復讐記はその供養でもあろう。
戦争を扱うコンテンツを触っていると、時折画面の中心人物に目が行ってしまう。実際の歴史事実としては大勢の人間が巻き込まれている事を忘れがちだ。英雄的に語られる誰かも居るかもしれないが、もっと多くの無名の誰かが巻き込まれている。
とはいえ、結局残った者は残った者として折り合いをつけて生きていけという結論ならそれはそれでやや残酷か。
とはいえ……

許せない事と今後の関係は別の問題として切り分ける事も一つの方法だとアークナイツは言っている。
二国間の問題を棚上げして外交関係を正常化する方針は既視感が無いでもない。個人の恨みも国家としてのわだかまりも現実にも地続きの問題であり、国家も個人もいずれは態度を決めなければならない。
ここでアークナイツが描いた答えは”妥協”であるように思う。
物語の消費に対する批判

創作から何も持ち帰らない人達。
なぜ、高潔さを描いた作品を見たとして、自らはそれを為せないのか?
なぜ、勧善懲悪を好みながら自らは無関心な傍観者として生きるのか?
アークナイツ自体にもアークナイツユーザーがロシア側義勇兵として参戦してその後消息不明となった話があるぐらいである。
あろうことかフロストノヴァのグッズを銃に吊るしていたらしい
作中においてはそれは普通の凡人なのだから(仕方がない事ではないか)という形で拾われているが、アークナイツが明確にメッセージを込めて話を描いているであろうことから言えばコンテンツの作者として消費者が物語を堂のように受容していくのかについては思う所があるのかもしれない。
とはいえ、物語の消費の仕方について明確に批判しているシーンは終盤の劇についてであろう。
サルゴン人がミノス人に自らの罪を告白し、処刑を受け入れるというシーンを演じているところ、そんな作り話で慰みになるのかという批判はやや強火に映る。
現実でもそういった形になってしまっている創作は少なくないのだから。今回の話を日中に置き換えるのであればアークナイツの本拠である中国には抗日コンテンツの類がそれにあたりそうであるし、プロパガンダ的なコンテンツに一言あっても不思議ではない。かもしれない。が、これは個人の勝手な解釈です
創作から何も持ち帰らない人達、というのはSNSで見かけた一文であるが、なかなか良い批判だと思う。
ステージ攻略

今回のステージは簡単……といえば簡単だった。通常ステージにおいてはそれほどギミックの影響も大きくないし、通常の力押しやオペレーターの特性と相性ゲームで踏み倒しは用意な部類。


失望して真っ黒になった彫像、メンタル崩した若いSNSユーザーがアイコンを真っ黒にする奴が元ネタだったりする?
ステージマップと同化して敵のキルカウントが進まない事があった。気を付けよう。

一方でEX強襲ステージは露骨にステージ構成が変化してくるので、EXステージが強襲ステージの予告にもならない。
今回特に相性が良いと感じたのはMon3trだろうか。連鎖で広い範囲でギミックの起動に使えるのと、スキル3では周囲八マスに確定ダメージをばら撒ける上、配置ユニットとしてエネミーの突撃目標にもなる気配がある。攻撃範囲の広さ、核の設置で見かけ以上に回復範囲が広いく小回りも利く。
他には術ダメージの効率が意外とよく、熾炎ブレイズのスキル3で彫像やまとまって出現する敵を景気よく一掃できて楽しい

無数のイサコス。 登場して直ぐ無敵モードで今回のギミックを荒らして来るので大変邪魔くさい。
水を集めるのはきっと戦地においていっぱいの水が貴重だったからだろう。成仏してくれ。
いうなれば亡霊や幻影のくせに物理ダメージの方が通る。

工事完了。EX8強襲は再現しようと思ったら失敗したのでかなりテクニカル(無理やり)なやり方だったらしい。
余談

なんだこのデザイン!タクティカル剣闘士の解釈は新しすぎる。その兜でその暗視スコープは使えるのか? これでリンゴ農家だかの扱いなのでヤバい。お前のような農家がいるか。

また、今回はパラスの出番が多い。準主役といってもよい。実装自体はかなり早い段階でなされた記憶がある一方で、これまでシナリオでの出番は非常に少なかった。話の構想自体は初期段階からあったのかもしれない。プロフィールや回想秘録ではサルカズの護衛に言及される事も多いのだが今回未登場。

この高ケモ固有立ち絵メリッタ、かわいい。かなり力が入っているが、実装しませんか? して?

ティティはスカウトに成功したものの、呪癒師という職分自体あまり編成に採用していないので育成優先度は低め。
最近入手した中ではハディヤに育成割いているものの、完全にビジュアル優先での育成。使い勝手はあまり良くない。コスト消費でスタンを撃てるという点は意外なところで使い道があるかもしれないものの”遊び”の枠を超えない性能だと思う。交換★五だから仕方ないと言えば仕方ない。