
アークナイツの概要
アークナイツはIOSおよびandroidOS向けに開発されたゲーム。
タワーディフェンスをゲームスシステムとして採用したシミュレーションRPG。
開発は中国のゲームスタジオ(hyperglyph)、日本国内へのローカライズはYostar。
独特の世界観と設定が魅力で長年のサービスを経てシナリオボリュームは長大な物のになっている。
個人的にはシナリオゲームとして評価が高いところですが、同時にゲームシステムの懐広さも他にないゲーム性も魅力だと感じます。
タワーディフェンスゲームとしての魅力は解法の懐深さ
アークナイツのゲームプレイが持つ魅力はタワーディフェンスゲームというシステムながら、再現性と即興性どちらも受け入れるゲームシステムにあると思う。重要な要素は以下にあげられる
配置の遊び―タワーディフェンスの基本が面白い

アークナイツのタワーディフェンスはユニット配置という基本をベースにキャラクターの再配置や配置からの任意撤退までもゲームシステムとして重要なプレイングになっている。
単に配置してから自動的に進んでいく戦闘を眺める、のではなく敵の動きに合わせて(編成するユニットの性能に合わせて)配置転換やそもそも長期間配置し続けないという選択肢が生まれている。当然、配置後場に居座り続ける選択肢も有力だから、配置の時点で運用の遊びに選択肢が多い。
即興と再現性―強敵への攻略模索と自動周回への最適化、縛りプレイの再検証と攻略法の共有
アークナイツはゲームが進んでいくと、難易度の上昇が起きる。特に高難度モードや危機契約のようなイベントでは格段に負荷が上がっており、MAP一面の攻略を見つけるまでに時間がかかることも増えていく。
キャラクターの数が少ない、育ているキャラクターから攻略に使える選択が少ないと言うシーンも増える。
アークナイツは特徴として敵の行動や進行に再現性がある事で攻略の模索に意味が出やすい。そして再現性の高さから攻略動画の存在と需要がゲームコミュニティとして強く存在する。
攻略動画においてもいくつかの方向性があり、高レアをあえて採用しない動画は初心者にも一定の助けになり得る。
また職分内ではキャラクター性能や役割が似ている事からある程度代替することも可能であり、自分の持つ攻略リソース(未所持のキャラクターを代替し各ユーザーの編成)に合わせてアレンジすることで攻略チャートを単になぞらず自分にとっての最適化を模索していく楽しみと苦労が残されている。
ゲームジャンルの拡張を試みるゲームモード

アークナイツは基本のゲームシステムをタワーディフェンスとしつつも、同時にゲームジャンルの拡張を目指しているように思う。
連続したステージ攻略をランダムに入手したキャラクターで攻略していくローグライクモードは通常MAPとは違った攻略法と長期的な資源管理や攻略ステージ順路とチーム強化という要素が面白い。
慣れれば特定の強キャラを使わずに攻略する縛りプレイも面白い。
さらに4x系ゲームのテイストのモードも実装された。
※4xとは探検(eXplore)拡張(eXpand)開発(eXploit)殲滅(eXterminate)を含むストラテジージャンルのこと。
代表的なゲームとしてシヴィライゼーションシリーズ、ステラリスなどがある
生息演算名付けられたステージは拠点のMAPで生産設備を設置して攻略の助けとしつつ、資源回収を行う為に各地のMAPを探索し、必要におうじて敵の拠点を攻撃し、逆に拠点を目指す敵の襲撃を退けるというモードだ。
手間がかかる事からやや不人気だが、たくさんのキャラ強化素材を得られる
他にもマルチプレイモードや特殊なルールのステージががイベント期間限定実装されたりとゲーム中の遊びを拡張しようという意欲を感じる点は高く評価したいと思う。
大ボリュームのシナリオ―魅力は内包する思想と善性
アークナイツをアークナイツとして有名にしている最たる理由はシナリオにあるといってよい。
アークナイツのメインストーリーは、世界の文明が原石と呼ばれる鉱物によって発展してきた。原石の大きな恩恵と同時、感染性で致死的な病原となりえる致命的な病、鉱石病を引き起こす重大な欠点を持っていたことで発生した問題、鉱石病に感染した感染者の暴動で始まる。


鉱石病と感染者の闘いが次第に地域の安全保障、国家間紛争、そしてアークナイツ世界の文明が抱える重大な問題へと焦点が移っていく。最終的にはアークナイツ世界の宇宙観、世界観までもがシナリオに組み込まれる壮大なSFとなっている。
メインシナリオと合わせて間に挟まれるサブストーリーも多彩で魅力的な物になっている。
開発国が中国であることから、中国の文化的素養を生かした詩文や社会背景をモチーフにしたであろう寒村の話は印象に残る。
そのほかにもアークナイツ作中に登場する国や地域は現実の国や社会をモチーフにしている事がシナリオにもいかされており、ゲームで実相されるイベント毎にシナリオの方向性や雰囲気の違いや多様性には毎度驚かされる。
キャラクター単位にもバックボーンの掘り下げとして固有のエピソードが描かれる事もあり、そのシナリオもやはりクオリティの高さに驚く。
戦争や紛争、災害といった舞台以外にも地域社会の貧困、科学技術の発展、法治と掟の二重社会、多彩な舞台が描かれている。
さらにSF小説的な描写から詩文、絵本のような抽象的なシーンまで描写にまで幅の広さがあるのだから驚きだ。

これらシナリオにおいて共通することは、徳や善意、勇気を大切にしているのでことでは無いかと思う。
重い話を指して、アークナイツのシナリオが持つ重さや世界観の暗さが強調されることもあるが、一面に過ぎない。
アークナイツのシナリオは、特に無辜の市民が苦境に立たされることが非常に多いものの、結果としてアークナイツにおいて実装されるキャラクター(ヒーロー)の活躍だけではなくモブキャラクターの振る舞いにもシナリオに込める意味が見いだせられる。それは市民の善良さと勇気だ。
特に最新のメインストーリー16章では、軍隊から逃れる市民のうち、特に逃げ遅れを悟った市民が自ら照明を挙げ砲爆撃の囮になる事を選んだシーンは記憶に新しい。
ヒーローの活躍ですべてが上手くいかない事も多いアークナイツでは、ただのヒロイズムに終わらない魅力がある。むしろ、名もなき市民がとる英雄的行為をたたえるヒロイズムが魅力かもしれない。
名のあるキャラクターと並行して描かれるモブ、市民の姿にアークナイツの思想が見える……ような気がする。
また作中の労働者層(炭鉱員や工員、エンジニア、トラック野郎といったブルーワーカー)に対してホワイトカラー (金融業や保険業、広告会社のサラリーマンら)がカリカチュア化される事が多い印象があるが、そこに中国が共産主義国という国柄を反映しているような気配も感じる
ゲーム外コンテンツ展開の広さも魅力
アークナイツはゲーム以外にもコンテンツの展開が魅力的なタイトルでもある。
その中でもとくにアークの音楽は高いクオリティを持っている事と、その展開方法はいまの大陸ゲーのコンテンツ展開手腕の奔りになったのではないかと思う。
アークの音楽はゲーム内のBGM群のほか、実装される重要なキャラクター(主にイベント毎、最高レア実装)に合わせて動画サイトでキャラクターソングやイメージ曲という形で公開されるほか、危機契約のようなイベントにも毎度専用のテーマ曲が作られている。
イベント曲についてはゲーム中でも一応試聴する機会があるものの、ほとんどゲーム内で再生されないのだから驚きである。
さらに驚きいたことに、本国ではその楽曲を利用したライブイベントも毎年行われているが、その様子がYouTubeで無料公開されているのである。
コロナ禍においてはイベント開催が満足な形で行えなかった結果、YouTubeでライブ配信という形を取った事もある。
これ無料? とTwitterタイムラインが沸いたのは懐かしい思い出である。
以降は本国のイベント開催時期とライブ映像の公開がズレるからかライブ公開という形は取られていないのが少し残念だ。
音楽以外でもスピンオフ漫画、メインストーリーのアニメ化されているほか、本国ではボードゲーム化もされているらしい。
最大の難点は序盤―シナリオも尻上がりでゆっくり面白くなる
アークナイツはたいへん面白い。
一方で人に勧めるにあたっては難点が存在する。特にゲームの序盤が面白くないと言う事だ。
キャラクターが育っていない。入手できたキャラクターが少ない。これらはゲーム攻略を顕著に面白くなくしてしまう。
アークナイツは持っているリソースから最善策を模索し、ステージを攻略していくゲームであるにしても……取り得る手段が少ないとなるとはやり最後はステータス勝負になるし、序盤はレベルアップにも段階ごとブレーキがかかる仕様だ。
キャラ育成が進まなければ変則的スキルやキャラクター間のシナジーや連携も出来ない。
そして、とくに序盤はそれでもどうにかなるステージ構成だとして……攻略の負荷が低いと今度は試行錯誤の面白さが無い。
キャラが増えて、ステージの負荷、攻略の難しさが増すと使える解法も変化してアークナイツのゲーム面における真の面白さが見えてくる。

シナリオも序盤はそれほど面白くない
ストーリーも今となっては沢山のイベントが開催されてきた結果、追加されたサイドストーリーが多く、序盤から面白いイベントシナリオに触れる事も可能ではあるが、世界観や雰囲気、用語や重要キャラクターの把握にはやはりメインストーリーを避けては通れない。
メインストーリー自体、おそらくアークナイツのファンとしても五章や六章前後から評価が高くなると思う。
敵対してきた感染者組織レユニオンの掘り下げ、フロストノヴァのようなヒロインの登場というシナリオで重要なシーンが描かれる頃までは世界観の説明、状況が流されるままに進んでいくように感じられて退屈かもしれない。
現在は第一部(メインストーリー1~8章と一部サブイベント程度まで)アニメ化されているから合わせると良いかもしれない。
シナリオが進むにつれテキスト分量も膨大になるため、読書に親しんでいないユーザーにとってはその点でも苦労するかもしれない。
イベント一つ、章一つで文庫本一冊程度の分量となる事もある。
アークナイツに実装されているストーリーは既にSF小説、天冥の標シリーズを読み切る程度の分量にまで至っている
モバイル端末(スマホ、タブレット)向けゲームでありながら、そのボリューム感のために腰を据える必要がある。ゲームプレイはキャラクターがそろって、強化が進んでいくことで出来ることが増えるし、シナリオも段々と話の意味や伏せられていた世界の情報が分かっていくこと。世に出ているゲームの中でもどっしりとしたゲームかもしれない。
アークナイツ総評
正直いうと贔屓目が強いかもしれないが、スマートフォンゲームの中でもアークナイツは重要な位置にあるように思う。
シナリオ重視のゲームとしては先行する作品がFGOを代表として存在しているほか、ソーシャルゲームにおける萌えミリ擬人化系コンテンツ(艦これ、アズレンやドルフロ)の文脈を拾いつつ、ゲーム性の高さとシナリオ、グラフィックのデザイン性をハイレベルでまとめ上げた一つの完成系であるように思う。
さらに後続のコンテンツへ与えた影響も大きいと感じる。
アークナイツは特に当初から公開しているPVの時点でデザイン面での質が特に高い。音楽と書体やイラストといった素材を活用したモーショングラフィックスのデザイン性は今でも見劣りしない。
アークナイツ以降、固有のキャラクターのPV、音楽を制作してのプロモーションを取るタイトルが増えたように感じるし、全体的なキャラクタービジュアルのトーンは多かれ少なかれあるように思う(あくまで個人の感想です)
アークナイツも多くの先行作品や同時期のゲームから影響を受けている事も前提としつつ、個人的な意見ではアークナイツは今のモバイルゲームタイトルの中において今も先頭に立つ一つの完成系であるといいたい。
ただし、だからこそ中国の事情と日本国の事情で運営方針にて問題が発生することについては残念と言わざるを得ない。
声優の降板のアナウンスがこれまで数度発生しているが、その理由としては政治批判につながる行為や特定の神社への参拝などが発端とされている。ここではキャンセルカルチャーだと批判しておく